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カレーのルーツ

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カレーと出会った最初の日本人

日本で最初にカレーライスを見た人間、

彼の名を三宅秀という。

1863年、34人の遣欧使節団の一員として乗り込んだ船中で、

三宅はインド人たちが食事をしている光景を見て、

「飯の上にトウガラシ細味に致し、

芋のドロドロのようなものをかけ、

これを手にて掻きまわして手づかみで食す。

至って汚き物なり」と日記に記している。

また、1872(明治5)年、

『西洋料理通』という本のなかに記されている

「カリド・ウイル・ヲル・フアウル(curried veal or fowl)」という料理が、

日本における最初のカレーの説明とされている。

作り方は「肉や鳥の冷えた残り肉を、刻んだネギとリンゴ、

小麦粉と水か白汁(米のとぎ汁)で煮てユズ汁を入れる。

これを輪上に盛ったご飯の真ん中に盛る」となっている。

本来、インド料理だったはずのカレー。

それがなぜ現在、日本でこんなに人気があるのだろうか。

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インドのカレー

インドでは、材料によってそれぞれの料理がほぼ決まっている。

その中で、スパイシーでしかもとろりとした煮汁のある料理を

西洋料理ではカレーと呼んでいることになる。

しかし、インドには、いわゆる「カレー粉」というものは存在しない。

ではカレー粉を使わないでインドではどうやってカレーを作るのだろう。

じつはインドでは食事のたびごとに、

素材にあわせて香辛料をブレンドして料理を作っているのである。

そのブレンドは家庭ごとに違うのはもちろん、

同じ家庭でもその時の家族の体調やら天気の具合などによって変える。

こうしてブレンドしたものを、「ガラム=マサラ」という。

ガラムは辛い、マサラは香辛料という意味だ。

このガラムマサラがカレー粉の元祖とされている。

しかし、ガラムマサラだけではカレーはできない。

インドのカレーにはガラムマサラのほかに、

生の香辛料も含めたさまざまな香辛料をつぶしてペースト状にした

マサラペーストが欠かせないのだ。

では、「カレー」という言葉はどこからきたものなのだろうか。

実は、16~17世紀にインドにやってきたポルトガル人やオランダ人が

カレーという言葉を使っているのである。

最初にインドにやってきたポルトガル人は、

現地の人々が汁かけ飯を食べているのを見て、それはいったい何かと尋ねた。

聞かれた方は食べている料理の内容について聞かれたと思った。

そこで料理の具である肉あるいは野菜を意味する「カリ」と答えたため、

料理名がカリすなわちカレーとなったと言われている。

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インドからイギリス、そして日本へ

18世紀からインドを植民地支配したイギリスは、

「カリ料理」をカレーライスとしてイギリスに持ち込んだ。

さらにイギリスのクロス=アンド=ブラックウェル社(C&B)は

ガラムマサラを世界で初めて、カレー粉として売り出した。

明治時代に日本に伝わったカレーライスはイギリスから入ってきたものであり、

インドのカリ料理がイギリス風にアレンジされたもの、ということができる。

においも色もどことなくエキゾチックで、

しかも日本人の主食である米の飯にかけて食べる。

日本人にはきわめてなじみやすい料理だったのだろう。

さらに、日本におけるカレーの普及には、もうひとつ、

カレールゥという日本独特の調味料の発明が大きく貢献した。

肉と野菜を煮て、巨大なチョコレートのようなルゥを割って入れるだけで

カレーができるようになったのだ。

そして、カレーライスの具として、

江戸時代まではほとんど日本人が食べなかった食物、

すなわち豚肉・にんじん・じゃがいもが定番となって現在に至っているのである。

1886(明治19)年には日本で最初にレストランのメニューの中に「ライスカレー」が載る。

1903(明治36)年には、国産のカレー粉が発売された。

明治時代の終わりにはライスカレーもかなり家庭に普及したらしく、

傑作な食べ方が現れる。

たとえば『家庭雑誌』という本には、カレー味噌汁(!)とか、

カレーライスにウニと海苔をかけるとうまい(!!)などという記事も出ている。

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スパイスの効用

スパイス(香辛料)は、本来、薬である。

したがって、スパイスを使った料理には、

「食べ物によって身体を健康に保ち、長生きする」という目的がある。

では、いったいそれぞれのスパイスはどのような効用があるのだろうか。

たとえば、ターメリック。

カレー粉の成分の50%以上は、例のカレー粉を出すためのターメリックである。

インドに侵入したアーリア人は、太陽崇拝をしており、

太陽光線に似ているターメリックの黄色に目をつけた。

そして、儀式用に身体や食物を染める染料として珍重した。

インドでは、現在でもターメリックで黄色く染めたご飯が結婚式の儀式に欠かせないし、

花婿花嫁は腕をターメリックで黄色く染める。

また、ターメリックには止血作用もあるといわれているし、

風邪気味のときはクローブと黒コショウをすりつぶして水とブランデーで溶いて一気に飲む、

せきがでるときはコリアンダー・クミン・ベイリーフ・ショウガ・黒砂糖・黒コショウを

煎じて飲むなど、スパイスを巧みに調合してちょっとした病気などはなおしてしまうという。

写真の人はパキスタンカリーを教えてもらったアリーさんです

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